ピーター・ボグダノヴィッチはニューヨーク州キングストン生まれのアメリカ人監督で、元は映画批評家にして歴史家であり、その古典的ハリウッドへの深い知識が1970年代初頭の短くも影響力ある一連の作品を形づくった。滅びゆくテキサスの町を憂愁とともに描く白黒の肖像『ラスト・ショー』は、古典的ハリウッドの構図を喚起しつつ、きわめて現代的なアメリカの幻滅の感覚を捉え、『おかしなおかしな大追跡』は、古典的なスクリューボール・コメディの構造の同じく巧みな掌握を示した。大恐慌時代の詐欺師の物語で、ライアン・オニールと実の娘テータムを組ませた『ペーパー・ムーン』は、彼女にアカデミー賞をもたらし、単なる模倣ではなくかつてのアメリカ映画を喚起する才能を裏づけた。十年代前半の成功ののちボグダノヴィッチのキャリアは大きく減速したが、その批評の執筆と、ヒッチコックやフォードを含む監督たちへのインタビューは、映画づくりに劣らず重要な学問的遺産を遺した。
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