タイ・ウェストはデラウェア州ウィルミントン生まれのアメリカ人監督であり、ジャンルの歴史と雰囲気に浸された、ゆっくりと恐怖を醸成する作風で名高い。一九八〇年代の悪魔崇拝パニック映画への綿密なオマージュである『ザ・ハウス・オブ・ザ・デビル』で、不意打ちよりも不穏さを重んじる、辛抱強くレトロな映像感覚を確立した。『X エックス』『Pearl パール』『MaXXXine マキシーン』から成る三部作は、一九七〇年代のポルノ製作とスラッシャーの約束事を、洒脱でジャンルに精通した眼差しで再構築。とりわけ『Pearl パール』は、けばけばしく『オズの魔法使』を思わせる色彩と、ミア・ゴスの絶賛された演技で高い評価を得た。ジャンルへの深い造詣と、雰囲気を第一とする辛抱強いホラー・パスティーシュの手法は、彼を現代アメリカのジャンル映画で際立った様式家のひとりにしている。
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