ダニス・タノヴィッチはゼニツァ生まれのボスニアの映画監督であり、ボスニア紛争のさなか敵味方の二人の兵士が塹壕に閉じ込められる様を痛烈に描いた暗い喜劇の長編デビュー作『ノー・マンズ・ランド』で高く評価されている。同作はアカデミー外国語映画賞を受賞し、彼の国際的評価を確立した。ユーゴスラヴィア紛争の萌芽のなかで展開する切ないドラマ『サーカス・コロンビア』や、医療を受けられずに苦しむロマの家族を非職業俳優で容赦なく描いた『鉄くず拾いの物語』は、バルカンの紛争と貧困に翻弄される市井の人々への注目を深め、後者は主演のナジフ・ムイッチにベルリンで銀熊賞(男優賞)をもたらした。英語圏の国際製作でも『トリアージ』を手がけた。バルカン紛争が人々に強いる代償を容赦なく見つめるその姿勢は、タノヴィッチを旧ユーゴスラヴィアから現れたもっとも重要な監督の一人にした。
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